【ギアレビュー】意外とイケる? ワークマン アクティブハイク 長期使用レビュー
近年、アウトドア業界を圧倒的コスパで席巻しているワークマン。
キャンプ用品がメインですが、登山服を始め、最近はウール製品も取り揃え、シェルなどの製品も充実しつつあります。
そんなワークマンから昨年発売された「高耐久シューズ アクティブハイク」。
しばらくオンラインでは完売していましたが、今月下旬に再入荷するそうです。
Outdoor Gearzineでワークマン登山の記事を多く手掛けているYasushi Hisatomiさんがワークマンアンバサダーとして、製品開発に関わっている商品です。
コスパという言葉が大好きな学生気分から抜けきれていない筆者としては、試さねばならぬという謎の使命感で即購入しました。
今回はこのシューズを計17回の山行で使用した長期使用レビューになります。
レビューを読むにあたっての前書き
今回はアクティブハイクを様々な山で使用したレビューですが、これはメーカーが想定した用途から外れている山もあります。
メーカーが想定しているのはあくまで山歩き ≒ ハイキングだと思います。
今回のアクティブハイクと他の登山メーカーから出ている値段が全く異なるのは、機能性の部分だけでなく、信頼性の部分もあります。
登山メーカーのものはある程度シビアな状況でも耐えられるような試験があり、その結果として製品の値段にも反映されているのかなと思います。
だからといって今回のアクティブハイクの信頼性が悪いかというとそうではありません。あくまで、メーカー側はシビアな状況が続く登山は想定していないので、そこは保証できないよ、ということです。
上記にリンクを載せたYasushi Hisatomiさんの記事にも以下のような記述があります。
是非、1度以下の記事にも目を通していただけたらと思います。
ワークマンのアイテムは近年低価格にもかかわらずクオリティの高いものが増えてきたとはいえ、今回のシューズは当然登山専門メーカーによる「登山靴」ではありません。言い換えると、ハイキングなどに活用できる特徴を備えてはいるものの、タフでシビアな状況が長く続くような「登山」での使用を想定して作られたものではなく、またその使用を推奨しているわけでもありません。ユーザーは使用するにあたって、その点を十分に理解しておくべきだと思います。
引用元:
ワークマンからついにこの秋登場、山歩きにも使えるウォーキングシューズ「アクティブハイク」最速レビュー | Outdoor Gearzine "アウトドアギアジン"
ですので、今回はそのメーカーの想定からちょっと離れた山行でのレビューも含まれますので、その点ご留意ください。
-------長い前書き終わり-------
長々と書きましたが、今回はあくまで、筆者個人の用途で使える/使えないといった個人的な感想です。
登山はリスクが伴う活動ですので、できるだけ安く、と考えるのは正直ナンセンスではあると自覚しています。だけどやっぱコスパ良い方が嬉しいよね。にんげんだもの。
ということで、メーカー想定外の使用は自己責任でお願いします。
良い/イマイチ/気になるところ
◯良いところ
・圧倒的コスパ
・インソール&厚底ソールの快適性
・軽量性
・意外に強い撥水性
✕イマイチなところ
・ロゴの色
・かかと部分の形状
・濡れたコンディションでのグリップ
△気になるところ
・乾いたコンディションでのグリップ
・足の蒸れ
実際に歩いた山
以下に実際に歩いた山を記載しておきます。
当時のコンディションで問題なく歩けたかどうかも軽く書いておきます。
*あくまで当時登ったときのコンディションです。
・高尾山 599m 天候:晴 判定:○
・大野山 723m 天候:晴 判定:○
・達磨山 982m 天候:晴 判定:×
戸田峠~達磨山~戸田峠
泥の斜面で非常に滑った。1回コケた。
・大山 1251m 天候:曇り 判定:○
・三頭山 1531m 天候:晴 判定:×
小河内神社~ヌカザス尾根~三頭山~都民の森
落ち葉の斜面で非常に滑った。
・丹沢山 1567m 天候:曇り 判定:○
大倉~塔ノ岳~丹沢山~塔ノ岳~大倉
・由布岳 1583m 天候:晴 判定:○
正面登山口~西峰~東峰~正面登山口 (お鉢めぐり)
・阿蘇山 1583m 天候:曇り 判定:○
・八甲田山 1584m 天候:曇り 判定:○
・栗駒山 1626m 天候:曇り 判定:○
いわかがみ平~中央コース~東栗駒コース
・秋田駒ヶ岳 1637m 天候:曇り 判定:○
・日向山 1660m 天候:曇り 判定:○
矢立石~日向山~矢立石
・祖母山 1753m 天候:曇り 判定:×
一合目の滝~祖母山~一合目の滝 (神原コース)
前日の雨で濡れた岩場が滑りやすかった。結構厳しい。
・三ツ峠山 1785m 天候:晴 判定:○
三ツ峠登山口~開運山~御巢鷹山~茶臼岳~大幡山~三ツ峠登山口
・大菩薩嶺 2057m 天候:晴 判定:○
・黒斑山 2404m 天候:曇り 判定:○
車坂峠~トーミの頭~前掛山登山口~鋸岳~仙人岳~黒斑山~車坂峠
・白馬岳 2932m 天候:晴/曇り 判定:○
レビュー詳細
◯圧倒的コスパ
この製品の凄いところはやはり圧倒的コスパ。
ハイキングシューズといえど、既存の登山メーカーから出ている製品ならば1万円はするものです。
しかし、ワークマンはこの常識を税込1900円という圧倒的、というか比較にならない値段で出してきました。
正直この値段なら全然失敗できます。
ローカットシューズで言うと、現在私が保有しているモンベル クラッグステッパーは17380円。
かつてコスパの良さで履いていたグラミチ グラニットでさえも、6000円程度でした。(当時)
そう考えると、1900円という値段がいかに圧倒的かわかると思います。
◯インソール&厚底ソールの快適性
アクティブハイクのアウトソールを他のローカットシューズと比較してみると、その厚さは一目瞭然です。
アウトソール自体は登山靴特有の硬いものではなく、少し柔らかめで、どちらかといえばトレランシューズに近い感じです。
インソールも各社比較すると、どのメーカーも土踏まずにアーチが作られています。
厚みはモンベルと同じぐらいで、薄めですが、クッション性は結構あります。
インソールにある土踏まずのアーチ構造と厚底ソールのクッション性により、非常に快適な歩行ができました。
例えば、白馬岳では硬い岩の上をずっと歩いていく道があります。
このときは1泊2日の行程+撮影機材で、計10kgを超える重量の荷物でしたが、特に脚が痛くなることもなく歩けました。
(ちなみに友人はアルトラ ローンピーク3 ミッド・ネオシェルを使用していましたが、足裏が痛いと言っていました)
◯軽量性
重量は片足330gでこの手のシューズとしては、非常に軽量。 (26.5cm実測)
前述のクッション性+軽量性により、気持ち良く歩くことができます。
他メーカーと比較した結果は以下の通り。 (26.5cm片足実測)
モンベル クラッグステッパー:440g
ガルモント ドラゴンテイル:430g
◯意外に強い撥水性
個人的に一番気になったのがこの部分です。
実際に使用してみて、浸水はほぼありませんでした。
雨の日に使用はしていませんが(そもそも雨の日には外出したくないタチなので)、簡単な渡渉や水たまりには対応できました。
祖母山 神原コースの簡単な渡渉
黒斑山での雪解け水たまり地獄
実際のフィールドでは問題なさそうですが、ゴアテックスなどと比較してどうなのよ、という疑問は残ります。
そこで、実際に比較してみます。
例によってアクティブハイクを含む3つのシューズで比較します。
ワークマン アクティブハイク:耐久撥水
ガルモント ドラゴンテイル:特になし
検証方法は以下です。
①靴の中に水を入れて、どのくらい水が保てるか (18時間耐久)
②水の溜まった容器に入れて、どのくらいで浸水するか (最長6時間)
①の検証結果は以下です。
ある程度想像通りですね。やはりゴアテックスは強いです。
ただ、ワークマン アクティブハイクも最初の1時間で一気に減少したものの、その後はある程度保っています。
全く防水・撥水加工の無い場合はガルモント ドラゴンテイルのように水が漏れ続けます。
②の検証結果は以下です。
ワークマン アクティブハイク:開始30分で靴底から浸水
モンベル クラッグステッパー:開始6時間で浸水なし
ガルモント ドラゴンテイル:開始5分で浸水
検証は5分、10分、20分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間で測定しています。
こちらの検証でもゴアテックスは流石。アクティブハイクも比較的健闘していると思います。
実際のフィールドではこのような状況になるか、と問われればあまり無さそうなので、浸水に関してはそこまで神経質にならなくても問題ないかなと個人的に思います。
ただ、気を付けたいのが、タンの部分がメッシュになっているということです。
ここは撥水生地でないので、浸水します。
雨などに降られたり、ちょっと深い渡渉だと一気に浸水すると思います。
恐らく、蒸れを防ぐためにメッシュになっているかと思いますが、正直ここが撥水生地でも蒸れの程度はそこまで変わらないのでは…?と思います。
✕ロゴの色
全体的なデザインは悪くないと思うのですが、ロゴの色がイマイチかなーと個人的に思います。正直、ブラックの方はロゴの色もブラックで目立たないようになっているので、蛍光緑はやめてほしかった…
ロゴに関してはワークマン全体に言えることなのですが、あまり見える位置に目立つ色で配置して欲しくないなぁ…
✕かかと部分の形状
これは実際に歩いていて思ったのですが、かかとの部分がアキレス腱上部に当たって擦れます。
実際に他のローカットシューズと比較してみると、1番手前のアクティブハイクは若干ヒールが高く、かつ、直線的にかかとに倒れ込む形になっています。
この形状が直接的な原因かは不明ですが、他のシューズに比べてかかとが擦れてしまいました。
ちなみにワークマンで売られているウールソックスではヒールが高く設計されており、この擦れを防ぐ形状のようにも見えます。
個人的にはワークマン以外のアンクルソックスを履くこともあるので、改善してほしいところですね。
✕濡れたコンディションでのグリップ
これはYasushi Hisatomiさんもレビューで述べている点です。
筆者も何回か濡れたコンディションで歩くことがありましたが、結構滑ります。
個人的に一番きつかったのは祖母山の神原コースです。
前日に多くの雨が降った後で、岩場で難儀しました。
「濡れた」というよりは「湿った」に近いですが、ちょっとこれでは厳しいですね。
また、泥の斜面でも結構滑ります。
小達磨山の泥斜面では1回コケました。
(友人はモンベルのミッドカットを履いていましたが、あまり滑らないと言っていました)
△乾いたコンディションでのグリップ
乾いたコンディションでのグリップは基本的には問題ないです。
由布岳のお鉢めぐりは岩場を登り降りしますが、特に問題なく通過できました。
しかしながら、三頭山のヌカザス尾根では結構滑り、難儀しました。
落葉の多いコンディションだったこともありますが、ザレ場のようなコンディションでも比較的滑りやすいように感じました。 (ここらへんは相性とかもあるかもしれません)
△足の蒸れ
蒸れに関しては個人差あると思いますが、ゴアテックスでも蒸れるのであまり気にしていません。
もちろんトレランシューズに比べれば蒸れます。
撥水性についての章で述べましたが、正直ここを改善するよりかは、タンにも撥水性の生地を使用してほしいなぁと思います。
レビューまとめ
結局どうなのよ!?
色々と述べましたが、個人的には使えるレベルかなと思います。
もちろん、登山道のコンディションによってはグリップが難儀することもありますが、値段・クッション性・軽量性を考えればコスパ最強の座は揺るがないかと。
今まで、登山をやりたいと言ってくれる友人に高い登山靴を買ってもらうのは非常に心苦しかったので、アクティブハイクという選択肢が増えたのはありがたいです。
耐久性などはまだ160km程度しか歩いていないので、結論づけるのは難しいですが、現状は特に異常はありません。
どんな用途、人におすすめ?
◯既に登山靴を持っている人
・自家用車などに積み、登山靴を忘れた時用のサブ靴として
・登山靴を忘れた時の現地調達靴として
サブシューズとして優秀だと思います。失敗しても懐へのダメージが少ない点も◯。
◯登山を始めようと思っているが、続けるかわからない人
・最初のハイキングシューズとして
グリップ力は登山靴に劣る部分があるものの、スニーカーよりは確実に良いです。
この靴から始めて、続けそうなら行く山の難易度に合わせて登山靴も購入することをおすすめします。
最後に
個人的にはやはり値段が多少上がっても、
・タンに撥水生地を使用する
・グリップ力の強化
をして欲しいなぁと思います。
この記事をワークマンの中の人が読まれていれば、是非ご検討をお願いします!